妊娠に向けて、気をつけなければいけないことについて
きちんと把握できていますか?
知らなかったことで、あとで後悔してしまうことの無いように
妊娠前から適切な習慣をつくることを目指すことが大切です。
国立健康・栄養研究所が公表している
「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」を参考に
現代人の傾向から考えられた4つの注意点について
管理栄養士がわかりやすく解説します!
①あなたの体重、今のままで大丈夫??
栄養素が不足している「痩せ」体型におけるリスクについては
前回お伝えさせていただきましたが、
妊娠前の「肥満」体型では、
妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
などを発症するリスクが高まることや、
母乳育児の確立に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、妊娠前からの適正体重維持の重要性が示されています。[1]
【適正体重とは?】
B M I(Body Mass Index)という
肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数を
使って判定しています。
[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出されます。
日本肥満学会の定めた基準では
18.5未満が「痩せ」
18.5以上25未満が「普通体重」
25以上が「肥満」
となります。[2]
例えば、身長160cmの女性では
体重47.4kg以下は「痩せ」
体重64kg以上は「肥満」
です。
まずは、現在のご自身の体格指数を把握していきましょう。
②妊娠力を下げるリスクがある●●、していませんか?
喫煙は、妊娠する能力の低下の原因となることが重大な問題です。
妊娠中のリスクとしては、
・早期破水
・前置胎盤
・胎盤異常
・早産や妊娠期間の短縮
・胎児の成長の制限、低出生体重
の原因となる等の可能性があります。
更には、乳児期の肺機能が低下する原因となるなど
生まれてくる子への影響も指摘されています。[3]
また、受動喫煙によっても子の発育障害や出生児体重の低下が懸念されているため
周りの人も含めた禁煙への取り組みが大切です。
③飲みたい気分の時も、妊活中はぐっと我慢を!
妊娠初期では、妊娠に気づかずについお酒を飲んでしまっていた
という状況も起こり得るかもしれません。
よって、妊活中から控えられることがベストです。
妊娠中の飲酒のリスクとしては、
・生まれてくる赤ちゃんの体重の減少
・顔面などの奇形
・脳の障害
の原因となる等の可能性があるからです。[4]
とは言え、様々な状況があるかと思いますので
女性の飲酒の適量についても把握しておきましょう。
女性の飲酒には、
・血中アルコール濃度が高くなりやすい
・乳がんや胎児性アルコール症候群などの女性特有の疾患のリスクを増大させる
・早期に肝硬変やアルコール依存症になり易い
といった特有のリスクがあると言われています。
よって、様々な研究結果から女性の飲酒量は一般的に
男性の半分から2/3くらいにすると安全とされています。
厚生労働省の示す指標では、
節度ある適度な飲酒は「1日平均準アルコールで20g程度の飲酒」
とされていますので
リスクの少ない飲酒量としては、
これより確実に少ない量となる10g程度に抑えることが好ましいと考えられています。
【アルコール10gってどのくらい?】
・ビール中瓶 1/2本(250ml)
・日本酒 1/2合(90ml)
・チュウハイ(7%)350ml缶 1/2本(175ml)
・ウィスキーシングル 1杯(30ml)
・ワイン グラス1杯(90ml)
適量を把握しておくことで
多くなってしまった翌週は休めるなど
自分で調整できるようにしましょう。
③引きこもってばかりはNG!適度に運動するのも大切♪
極端に運動不足であることは妊娠にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、妊娠中の身体活動・運動が
早産および底出生体重児のリスクを増加させない可能性も
明らかになってきました。[1]
よって、妊活中から無理なく体を動かし
適度な運動習慣を作っておくことは大切です。
「健康日本21(第二次)」の目標として、
日常生活の歩数の目標値は20〜64歳女性で8,500歩
とされていますが、
現状は5,000歩未満の割合は増加しています。
1日5,000歩未満の方は、まずは今より歩数を増やすことを意識しましょう。
運動をやりすぎることもまた、悪影響を及ぼす可能性がありますので
『無理なく』ということがポイントです。
座り続けることで健康障害が引き起こされることも分かってきています。
在宅ワークが増えている現在だからこそ
意識しておきたい点ですね。
【まとめ】
今回は特に大切な4つをご紹介しましたが、
「あれこれ気をつけなければ・・!」と気にしすぎてストレスを溜めてしまうと逆効果になることも。
そのようにならないためにも
なぜ気をつけた方が良いのかという点を理解した上で、
今の自分にとって一番必要なことは何か?
『自分で選択する』ことがとても大切です。
思い描く理想の未来を叶えるために、自分のからだを想う選択をしていきましょう。
【出典】
[1]国立健康・栄養研究所|妊産婦のための食生活指針の改定案作成および啓発に関する調査研究報告書|日本人妊産婦をめぐる現状と課題
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/ninsanpu/download_files/houkokusyo.pdf
[2]厚生労働省|eヘルスネット[B M I]
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html
[3]厚生労働省|eヘルスネット[喫煙の妊娠出産などへの影響]
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-02-003.html
[4]厚生労働省|eヘルスネット[女性の飲酒と健康]
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-04-003.html
(全て 2020-08-01参照)